ゲシュタルトの祈り    フレデリック・S・パールズ

私は私のために生きる。あなたはあなたのために生きる。

私は何もあなたの期待に応えるために、この世に生きているわけじゃない。

そして、あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけじゃない。

私は私。あなたはあなた。

でも、偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なことだ。

たとえ出会えなくても、それもまた同じように素晴らしいことだ。

 

 

道元禅師がご修行されていた時の有名なエピソードです。

 

道元禅師が中国の天童山で、ご修行されていた時のことです。
炎天下、きのこを干しているご老僧に出会いました。そのご老僧は典座というお台所を司る役の方です。彼の背骨は弓のように曲がり、大きな眉は鶏のように真っ白で、手に竹杖を持ち、笠もかぶらず汗だくになりながら黙々ときのこを干していました。

たまらず、道元禅師が問いかけます。「ご老僧、なぜ、その作務をあなたがやらねばならないのか。若い者に任せたらいいじゃないですか」

すると、ご老僧はこう答えました。「他は是吾にあらず」
他の人にしてもらっては、「自分がしたことにならぬ」、と。
つまり、自分に課せられたものは、他人に解いてもらっても何にもならないのだ、と。

 

 

私は私、あなたはあなたの世界が厳然としてあります。
と同時に、その私とあなたの隔てのない世界があることにも気づきたいものです。