あるお寺に招かれて、『生と死を考える一視点~「そのままの私」からはじめる勇気~』という演題でお話をする機会をいただきました。

 

90分の話を終えると、控室にご住職とそのお寺の総代さんが、ご挨拶にきてくださいました。総代さんは70歳前後のとても恰幅の良い男性でした。
そして、「今日の話はとてもわかりやすかった、素晴らしかった」とか、「いろいろ仏教の勉強をしておりますが、今までこんな話は聞いたことがない」などと褒めちぎってくださいました。

 

正直な話、私も悪い気はしませんから、にこにこと承っておりました。
しかしながら、魔が差したというのでしょうか。私はつい総代さんに尋ねてしまったのです。
「お褒め頂きありがとうございます。で、どのあたりが印象に残りましたか?」

 

すると、その檀家総代さん、「うーん」と暫く考え込んでしまったのです。そして、窮しながら仰ったお答えは「いやー、今日は衣の色がよかったです」。

 

己の至らなさを突き付けられた想いがしました。
向後、きちんと話を届けることができるよう精進したいと反省いたしました。