仏教界隈10 炙りだされる

 

立川談志師匠は、「酒が人間をダメにするのではない。人間はもともとダメだということを教えてくれるものだ」と喝破した。

 

52歳になった11月、やっとわかったことがある。それは、「私は本当に馬鹿だった」ことだ。

 

正しいと思ってしてきたことは、実は、自分の物差しでしかなかった。優しそうな態度を装って、その後の果実を期待していた。人の心に刺さる言葉を集めては、使う機会を心待ちしていた。大切なものを手にしていたのに、もっといい事はないかと血眼になっていた。頭を剃り、袈裟を身につけても、結局、私は名利を追い求めていたのだ。

 

結果、多くの人を傷つけてきた。

 

そのことを、支えてきてくれた人が4年かけて教えてくれた。
4年かけて、私の狡さを炙りだしてくれた。

 

今は息をするのも苦しいけれども、この狡さを捨てることが私の最期の課題だ。
無常を観ずれば、名利なし。

 

私は何もわかっていませんでした、私の心は病んでおりました、私は本当に馬鹿でした。

 

さぁ、この身を切り刻まれたような痛みを抱いた「今・ここ」からはじめていこう。
寂しさに押しつぶされそうな「私」からはじめていこう。
それが、あの人への感謝と誠意だから。