26編の詩集です。
「ああ今日も朝が来たのか」と溜息をつく日が訪れたならば、黄昏時に故郷や亡き人を近く感じた時間を経験したならば、手に取って欲しいと思います。
楽園 若松英輔
彼らが
人前で
声を出して泣かないのは
どんなに大きくわめいても
亡き者たちに届かないのが分かっているから
でも彼らが
ひとりでいるときに
うめくのをやめないのは
どんな小さな魂のふるえも
死者たちが見過ごさないのを知っているから
かなしみは
生者と死者が
出会う場所
慈愛という名の
楽園